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漆について

漆について

URUSHI

漆のはじまりは、1万年前の縄文時代まで遡ります。

人々は暮らしの中で、土器や木の道具に漆を塗り、壊れたものをつなぎ直して、長く使う知恵を持っていました。漆は、 漆の木から採れる樹液を使った、天然の保存技法です。


「1000 年の命を与える」とも言い伝えられてきた漆は、単なる補修のための接着や塗装ではなく、時間とともにさまざ まな表情を見せながら完成していく天然素材です。

塗る、待つ、磨く、また塗る。その繰り返しの中で偶然に生まれる揺らぎや不完全な痕跡はとても美しく、漆の大きな 魅力です。
光の加減や角度で艶が移ろい、経年とともに色が深まり、剥がれ、触れた時間が痕跡として現れていきます。

保存性の高さとその美しさから、漆は武具や刀を彩り、やがて装飾品や美術品にも使われるようになります。
しかし、昭和期以降、高価で扱いの難しい漆よりも、安価で扱いやすい化学塗料が重宝されるようになり、徐々に衰退していきます。

長い歴史の中で保存から工芸へと発展した漆は、現在失われつつある存在になっています。


maison2,3 は、この美しい文化を再解釈し、「永遠の保存性」と、「未完成や不完全、偶然の余白」に焦点をあてています。
存在のプロセスや個体差に共鳴し、「保存」と「経年」をデザインの一部として捉え、時間の中で育まれ、終わりのない完成へと向かっていくプロダクトとして提案します。

漆のひび割れ、
剥がれ対応について

漆は、時と共に表情を変えていきます。

使い込む中で、漆が剥がれたり、傷ついたり、かけたり、割れたりすることがあります。

それは終わりでなく、時の流れによる変化であり、ひとつの個性です。単なる劣化や損傷ではなく、ともに過ごした時間や記憶が刻まれた痕跡です。また、新たな命が生まれる機会でもあります。

私たちは傷や割れを「修理して元の姿に戻す」のではなく、「手を加えながら育てていくこと」だと考えています。
傷や割れを丁寧に継ぎ、剥がれを塗り重ねていくことによって、修理品ではなく、また新しい作品として生まれ変わります。
私たちが大切にしているのは漆の持つ寛容さと余白を時間の経過と共に楽しむものづくりです。

時を重ねながら変化していく漆とともに、私たちの暮らしにも、豊かな時間が積み重なっていけば嬉しく思います。

JA